10. Time He Gave Me
このアルバムのタイトル曲。唯一のラブソングです。メロディはいつものように、頭を空っぽにしていたら、降りてきました。ああ、なんてすてきなメロディだろう…なぁんて、自分でも気持ちよくなった曲です。
高校時代の友人にこの曲を聞いてもらった時に、彼女がこのカウンターメロディ(ストリングスのメロディになってます)をつけてくれました。すばらしいメロディです。
このタイトルをつけるにも紆余曲折がありました。曲自体は10年ほど前にできていたので、仮のタイトルはついていました。しかし、すでに出版していた「神さまにはプランがある」という本に続いて、このレコーディングをしたので、どこかに「神さま」という言葉を入れようと思いました。いろいろと思い悩んでいたときに、英語に堪能なピアニストの友人が「”Time He Gave Meはどう?大文字のHeにすれば、彼と言う意味にも、神さまという意味にもなるよ」とアドバイスをくれました。
「神さま」という言葉はなかなか使いづらい言葉です。私はカトリックでもないし、どちらかというと駒沢大学(曹洞宗)卒業で、実家は仏教徒ですし、著書のタイトルを決めるまで、「神さま」という言葉はあえて使いませんでした。でも大きな病気をしたり、生と死を考えたり、いろいろな経験を通して、この「神さま」という言葉が次第にもっと身近に感じるようになりました。ハイヤー・スピリッツとかいろいろな言い方はあるかもしれませんが、この「神さま」はキリストでもお釈迦様でもなく、何か大きな力があるように思えるようになってきたのです。「生かされている自分」を「生かしている何かの力」と言うか…そんな力を「神さま」って呼ばせてもらえたら~ということで、この言葉を使うようになりました。
そして日本語タイトルも「神さま」を使って「神さまがくれた時間」としました。
ここでライナーノーツを再度ここに貼り付けておきます。これはレコーディングをする前に、メンバーに自分の意図を知ってもらうために、書いたものです。それを英訳してもらって、事前に関係者全員に配りました。それをそのままライナーノーツとしました。
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2007年10月に「神さまにはプランがある」(カゼット出版刊)が出版されました。私の半生に起きた出来事を綴ったものです。
ALS(筋萎縮性側策硬化症)という、難病の中でももっとも過酷な病気かもしれないと診断され、生と死を見つめながら20年を過ごしました。その間、私を支えてくれたのは友人と、そして音楽です。音楽がなかったら、私の精神は立ちあがることもできなかったかもしれません。
人には誰にでも試練が訪れます。ときには、それにめげてしまいそうになります。でもそれを乗り越えたときにはじめて、強さと優しさを手に入れます。神さまは私たちに、その人なりにあった「試練」という最高のプランを与えてくれているのではないでしょうか?
これは私にとってのファーストアルバムです。この本の原稿を書いたと同じ時期に、これらのオリジナルナンバーを作曲しました。当初、コンピューターで音作りをしましたが、いつか生の音でこれを仕上げたいと思っていました。それから10年、本の出版とともに、私にとっての「神さまのプラン」はこれをアルバムにすることではないかと、強く思うようになりました。
そして今、ニューヨークに来ています。毎日、奇跡のようなできごとに溢れています。まさに今が私にとっての「神さまがくれた時間」です。
どんなときにでも、両手を広げて支えてくれている家族や友人たちに、あるいは同じように試練を乗り越えようともがいている人たちに、このアルバムを捧げます。そして何より、音楽そのものに、ありがとうの気持ちを込めて・・・
2008年7月 NYにて
※”Time He Gave Me”の試聴はこちらから
https://music.apple.com/jp/album/time-he-gave-me/301376834?i=301376850
※アルバム購入はこちらから。https://www.amazon.co.jp/dp/B001MSU7WK/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_T7CJ23MRMXXB42W4M7RJ