エッセイ

神さまがくれた時間-9

9.Breaking the waves

私は映像で音楽が湧くことが多いんです。詩や絵画で音楽に繋がる人もいるだろうけど、何せ映像に接している時間が多いので、映画にしても教育番組にしても、そこから影響されることが多い。これは1996年の映画「奇跡の海」を見て、作った曲。「この愛は、誰にも汚せない」というサブタイトルがついているらしい。

 

事故で下半身不随になった夫のために、娼婦になっていく女性のストーリー。当初、”Bitch and Angel”というタイトルを付けたのだけど、リハーサル中に”Bitch”って言葉は使っちゃいけないよって、ドラムのQuincy Davisに指摘されたので、迷いながらもこの映画のタイトルをつけさせてもらいました。

今回はそのストーリーよりも、いちばんお世話になったディレクターの百々徹(どどとおる)さんのことをお話しします。


百々さんとの出会いは、知人のベーシストSさんから、ニューヨーク在住のすばらしい日本人ピアニストが来日するので、一緒にピットインに聞きに行きましょうというお誘いから。予想以上にすばらしいステージだったので、アンケートに連絡先も書いたんですね。帰宅してからは、百々さんをリサーチして、SNSでも繋がったりしたんです。その後、数か月だろうか、時を経て、「ファンのみなさまへ」という来日ライブの告知メールを受け取りました。

ちょうど、アルバム作成のあるレーベルとのやり取りがうまくいかなくなっていて、「困ったなぁ」って、大の字になって床に寝てた時のことでした。メールを受け取るピンポンって音がして、受信トレイを見てみたら、百々さんからのメール。「あ、そうだ!百々さんに相談しよう!」って瞬間にひらめいたんです。そこで、メールのお返事に「今度の来日ライブに伺います。ご相談したいことがあるんです」と書いてみたところ、すぐに百々さんから「了解しました」というお返事をいただきました。

数週間後、ライブハウスに行き、百々さんにとっては初対面の私に会ってくれました。ちょっとした挨拶の後、「実はニューヨークでレコーディングをしたいんです。でもニューヨークに行ったこともなくて、レコーディング経験もないんです。」百々さんはほとんど躊躇もなく「いいですよ、僕でお役に立てることでしたら」と言ってくれました。急に目の前に青空が広がったような気分でした。

その後、DTMで作ったものを送ったりして、イメージややりたいこと、必要なことなどをメールでやり取りしました。百々さんはメンバー探し、ギャラ交渉スタジオとのやり取り、ギャラ交渉など、すべてを手はずしてくれました。さらにアレンジもお願いし、すべてがスムーズに進み始めました。
ただし、3か月間、宿泊するところがない。ピアノの練習もしたいけれど、ピアノを置いているシェアハウスなどなかなかない。そのことを百々さんに正直に話したところ、「ちょうど池田さんがいらっしゃる4月から、妻のピアノ教室を借りようと思っているので、そこでよければ3か月お貸しできます」。なんと、ピアノありのすばらしいアパートに済むことができたんですね。奇跡はほとんど百々さんが運んできてくれたことになるのかな。

 

メンバーの中で、こだわったのが、支えとなるベーシスト。日本人のベーシストをリクエストしたところ、Yoshi Waki(脇義典さん)を紹介してくれたました。百々さんとも気心のしれたベーシスト。この曲では彼のベースソロを聞かせてくれています。

 

さて、百々さんに引き合わせてくれた友人のSさんが、ニューヨークに行くんだったら、この本読んでみてくださいと、手渡されたのが、小川隆夫さんの本。ある日、百々さんの奥さんのピアノ教室があるので、別室で過ごしていました。生徒の父親のRonも子供のレッスンが終わるまで待つので、私も偶然、雑談する機会があったわけです。彼はその本を見つけて、「小川さんが入っているSNSがあるから、みどりも入ったらいいよ」って言うんです。小僧ドットコムというSNS。当時、まだFacebookはあまりメジャーでなかったので、面白そうだなって思って、そのSNSに入りました。

帰国後、この小僧ドットコムのメンバーたちがアルバムの告知にたいへん協力的で、お世話になりました。百々さんからRon、そして小僧ドットコムの方々と、奇跡的につながったというお話しでした。

※”Breaking the Wave”の試聴はこちらから
https://music.apple.com/jp/album/breaking-the-waves/301376834?i=301376849

※アルバム購入はこちらから。https://www.amazon.co.jp/dp/B001MSU7WK/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_T7CJ23MRMXXB42W4M7RJ

Toru Dodo

Toru Dodo

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