エッセイ

神さまがくれた時間-4

  1. Dear Friend

私の周りには宝物のような友人たちがたくさんいます。私自身はなんでもないけれど、友人たちには誇れるような人たちがいっぱい。なによりもの財産です。そしてこのブログを書き出して、がんを宣告されても、励ましてくださっている方たちのなんと多いことか。たくさんの勇気をいただいています。

このDear Friendは20年ほど前に、一時期作曲をし、それをDTM(デスクトップミュージック)に作っていた時のものです。このアルバムのほとんどが同時期の作品です。私の作曲法はただただ何も考えない。鍵盤の上に指を置いて、降りてくるのを待つだけです。実はこのブログもそうです。何も考えない。それだけです。

Dear Friendはいつも支えてくれている魔人屋(まんとや)の人たちに捧げました。

魔人屋との出会いはその開店当時、つまり46年ほど前です。
当時、結婚前で代田橋の彼のアパートに足しげく通っていました。となりには同じく駒大のジャズ研の同輩K君が住んでいて、3人は兄弟のように仲良くしてました。ある日、K君が「面白い飲み屋を見つけた」といって、その夜3人で出かけました。
下北沢近辺のその店は木造りで、奥に大きな木のテーブルを囲んで、さまざまな個性豊かな人たちが盛んに討論などしていて、お客さん同士がもう一体化しているような店でした。リーズナブルだし、何よりお料理がおいしい。背の高い男性と、ちょっと個性的で存在感抜群の女性ふたりでやってました。流れる音楽も心地よかった。それから、毎日のように通うようになりました。常連の人たちともだんだんと友達になりました。私たちの結婚式には、魔人屋のふたり、ぽこちゃんとヒロシさんも、そして常連たちも来てくれました。

私たちが離婚するときも報告をしました。ただし、離婚する時にダンナに「友人はみんな俺の友人で、お前にもう友人はいない」と言われて、私は魔人屋に行くことを遠慮していました。でもある日、勇気を出して魔人屋のドアを開けました。ぽこちゃんに「何言ってるの!みどりちゃんは私たちの友達じゃない!」って怒られて、涙が出そうになりました。バカみたいでしょ。でもDVで傷ついてるってこんなことまで傷ついちゃってるんです。

それからぽこちゃんから連絡があり、「ピアノをもらって置いてるんだけど、みどりちゃん一緒にライブしない?」って声をかけてもらいました。それから毎週ライブが始まって、もう25年以上がたちます。ここがまるで居間のようで、まるで家族のような常連たちの、何気ない話ができる場所です。それぞれいろんな経験をしていることも承知しながら、なんの臆面もなく話ができる場所のあることの、なんと貴重なことか。亡くなった方もいます。生まれた子もいます。3世代で来る人たちもいます。開店の46年前に生まれた人もいます。でも年齢も性別も関係なく、何気ないことも、時には人にはなかなか話せないことも、話せる場所。それが私にとっての魔人屋です。魔法をかけてくれる人たちの集まり。
※魔人屋のホームページ http://poco-mantoya.blogspot.com/

そんな場所の友達に捧げた曲です。

これをレコーディングするにあたって、ストリングスにこだわりました。レコーディング当初からどうしてもストリングスを入れたい、それもシンセサイザーではなく、生のストリングを入れたい。それはどうしても譲れない条件でした。それにはアレンジャーが必要でした。お金がかかることも承知。トリオでのレコーディングとはぜんぜん違うレベルです。

諦めていたストリングスをディレクターであり、アレンジャーでもある百々(どど)さんは見つけてきてくれました。ジョニ・ミッチェルやロッド・スチュアートなどのストリングスバックも務める韓国人の姉妹でした。姉のPauline Kim(Violin Viola)と妹のChristine Kim(Cello)です。ストリングスの収録は最後の日でした。Paulineがこの曲を弾き始めた時に「この曲、あなたが作曲したの?」「すばらしいわ!!本気で立って演奏させてね」と収録中、すごい集中力で収録をしてくれました。特にPaulineはヴァイオリンとヴィオラの2種類の弦楽器を収録なので、2倍大変です。百々さんには初めてのストリングスの指揮もお願いして、他の収録とは異次元な収録風景となりました。そしてそれは私の想像を越えるすばらしいサウンドになりました。

この曲、ドラマにでも使えそうなんです。Dear Friendを聞いた人たちからそんな意見をよくいただきます。いつかそんな日を夢見ています。

※Dear Friend の試聴はこちらから
https://music.apple.com/jp/album/dear-friend/1595594720?i=1595594726

※アルバム購入はこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/B001MSU7WK/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_T7CJ23MRMXXB42W4M7RJ

From Left: Christine Kim, Me, Pauline Kim

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