エッセイ

わかれ道は突然やってくる-8.

8. 初めての副作用 そして通院治療

7月27日入院、28日には初めての抗がん剤と免疫療法の併用投与。そして副作用もなく8月5日に無事退院した。
自宅はやはりいいものだ。しかしいつ副作用がでるかわからない。壁には病院から渡された「オブジーボとヤーボイを併用されているかたへ/治療中に気を付ける症状」という注意書きを、よく見えるように貼って、注意しながら生活をした。食欲もあり、病院疲れで体力が落ちているので、ゆっくりエクササイズや散歩も再開した。

8月19日は、医師の診断後、通院治療センターで初めての投与を受けた。抗がん剤のペメトレキソド+カルポプラチン、それに免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボ+ヤーボイ。それぞれの間に生理食塩水を投与する。時間はかかったが、特に問題もなく帰宅した。

ところが、その3日後、胃の左後ろ辺りが重くて痛い。まっすぐ立つこともできない。食欲もなく、気分も悪い。臨床試験中は何か「治療に気をつける症状」が出た場合、主治医に連絡をすることになっている。朝から何度か電話をかけたが、なかなかつながらない。電話をなんどかかけてみたが、つながらないまま、2日間を過ごした。寝るのも辛いほどだった。3日目の病院受付時間の数分前にもう一度電話をかけてみると、やっとつながった。受付に臨床試験中で治療に気を付ける症状が出ていることを伝えたところ、主治医から折り返しの電話をもらった。


「池田さん、大丈夫?どんな具合なの?」症状を伝えると「まずは落ち着いてね。副作用だと思うけど、吐き気止めはもらってなかったかな?それを飲んでみてください。それと病院には来れますか?予約いれておくから」

主治医の声を聞いただけで、安心した。何より主治医の適切で丁寧な対応が何より安心感を与えてくれた。信頼感って大切だ。
もらっていた吐き気止めを飲んだところ、少し楽になった。

その2日後、病院まで電車で向かうのは無理だと思い、タクシーで向かった。
いつものように血液検査・尿検査、レントゲンをしてから診察室に入った。「血液もレントゲンも問題はないですね。副作用のようですね。きっとこれがいちばんピークの副作用だと思うから、また、なにかあれば、連絡ください」

その後、だんだんと体力は戻って家事もできるようになった。食欲がイマイチなので、むしろこんな時は料理を勉強しようと思った。料理は楽しいし、それにおいしいものを自分で作れば、食べたいと思うだろう。そう考えて、英語の勉強をしがてら、懐石料理やイタリア料理のオンラインレッスンを受け、新しい料理に挑戦した。おかげで食欲は増し、料理もうまくなった。

3回目の投与予定の9月9日、投与前にはCT検査があり、主治医から「ガンが小さくなってるね」とうれしい結果を聞いた。投与は診察後になるが、今回はオプジーボとヤーボイのみ。臨床試験のサイクルでは、抗がん剤は前回の2回のみで、後は3週間おきのオプジーボ、6週間おきのヤーボイになる。

脳腫瘍に関しては、ガンマナイフ手術を受けた別病院の、月1回のMRI検査を受けた。調子もいいことを伝えると「心配しなくていいですよ、副作用は後から出てきますから」と、意味深のコメントをいただいた。
また、最初に脳腫瘍をみつけてくれた、脳神経外科には降圧剤などを処方してもらっていることもあり、2ケ月に1回ほど通院を続けている。こちらでも「早めにカツラ作っておいたほうがいいですよ」と言われた。

その暗示にかかってしまったのか、その3日後からまた胃の左後ろの痛みや倦怠感があり、体調不良になった。でもあまりひどくなく1週間もすれば、通常に戻った。

ただし、以前から悩まされている皮膚疾患が再発し、そこから約1か月以上、かかりつけ医の皮膚科のお世話になることになった。

しかしそれ以外は体力も食欲も増し、髪の毛が抜けることもなく、9月後半からは仕事も再開した。生徒さんたちにはレッスン再開のお知らせをした。約4か月のお休みだったが、ほとんどの方が再開を希望してくれた。そして、身体を気遣ってくれて「いつでも体調の悪い時は遠慮なく言ってください」と温かい思いやりの言葉をいただいた。ありがたいことだ。

9月30日はオプジーボのみの点滴治療。これはまったく何の副作用もなく、この臨床試験に自分が合っているように思った。このまま2年の臨床試験を無事終え、5年は生存して行けそうな気がしていた。


仕事も順調に進む中、アルバムの再リリースについても動き出し、このままあまり問題なく、この臨床試験が2年間続くようにと、自分なりに体調管理なども行っていた。そして副作用がひどくなかったのは、抗がん剤治療が2回で終わったことだろうと考えていた。

さて、5回目のオプジーボとヤーボイの投与を予定されていた10月21日。この日もCT検査があった。主治医が写真を見るなり「残念ながら肺がんが大きくなってるね。免疫療法では間に合わないみたいだね。症状が出る前に抗がん剤治療に変えましょう。」

また副作用との戦いが始まるだろう。でも早めの判断が今後を大きく左右する。主治医の決断を信頼しよう。

FacebookやLINE,そしてメールなど、この間たくさんの方々からの応援メッセージをいただいてきた。私の右往左往に嫌な顔をせず、つきあってくださって、いつも変わらない励ましをいただいていることに心から感謝をしたい。その方たちのためにもこれからもがんと向き合っていこうと思う。

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