エッセイ

わかれ道は突然やってくる-8

8. 副作用が出るのが遅かったんです。

退院後、調子も悪くなくずっと過ごしていた。多少の倦怠感はあるが通常通りにどうにか過ごせそうだ。でも入院は体を動かせずにいたので、体力不足だ。そこで毎日の散歩も始めた。徐々に戻していけばいい。

今後の仕事についても考えなければならない。
5月中旬から仕事をすべてキャンセルしているため、収入は途絶えたまま。今後の生活を考えなければならない。

医療費は限度額を超えている。この限度額というのは健康保険者の収入によって一定以上の医療費を支払う場合、「限度額適用認定証」を発行してもらっていれば、窓口でそれ以上を支払う必要がない。ただし、差額ベッドや、健康保険対象外のものには適用しない。これは入院する時などぜひ取得しておくことをおすすめする。ただし、これは一医療機関を対象とするので、国立がんセンター以外に脳神経クリニックなど、ほかの医療機関に通っていれば、それぞれが限度額ということになる。

さて、ここで私の臨床試験について説明しようと思う。臨床試験にはA群とB群からランダムに選ばれる仕組みでその比較からどちらの治療法が効果的かを調査する。私の場合は免疫チェックポイント阻害剤である「オブジーボ・ヤーボイ・化学療法による併用療法」というB群に選ばれた。この免疫チェックポイント阻害剤とはどういうものかというのは、国立がんセンターの説明とリンクを貼っておく。

「免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬です。
T細胞の表面には、「異物を攻撃するな」という命令を受け取るためのアンテナがあります。一方、がん細胞にもアンテナがあり、T細胞のアンテナに結合して、「異物を攻撃するな」という命令を送ります。すると、T細胞にブレーキがかかり、がん細胞は排除されなくなります。
このように、T細胞にブレーキがかかる仕組みを「免疫チェックポイント」といいます。免疫チェックポイント阻害薬は、T細胞やがん細胞のアンテナに作用して、免疫にブレーキがかかるのを防ぎます。」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html

このオブジーボ(ニボルマブ)は今、話題になっていて、100mgで15万円する。この5月に値下げしたものの、もともとは先端医療として取り扱われていて100㎎ 73万円していたものだ。私はこれを毎回300ml投与する。さらにヤーボイ(イプリマブ)点滴静注液50mg  / 493,621円と高価だ。これにプラスして、抗がん剤2種(カルボプラチン・ペメトレキセド)を投与しているのだから、法外な値段だ。どうしても限度額にはなってしまう。

とりあえず、今は治療に専念してと思うが、今後の医療費を考えても、仕事は考えなければならない。

そんなことを考えているうちに、8月19日、2回目の抗がん剤投与がやってきた。抗がん剤投与については、今回で終了。のちは免疫チェックポイント阻害剤2種のみの投与を、3週間おきに3年間投与することになる。今回は1回目とほとんど同じオーダー。つまり7種類ほどの点滴を3時間ほどかけて投与することになる。国立がんセンターには通院治療センターというのがあり、リクライニング式の椅子が並んでいて、通院する人たちがここで抗がん剤投与を受ける。混んでいるので、待ち時間に1時間半ほどかかった。そしてリクライニングに座る前に、昼食、パソコンと充電器を準備して、英語の勉強をしながら投与を受けた。

副作用については、今まで勉強したデータではまず1回目に大きく作用が出る。3週間後には脱毛が始まり、肝臓や白血球などに影響が出ることがある。そして、いただいた「オブジーボ・ヤーボイ・化学療法による併用療法」の本では「治療中に気をつける症状」というのは冊子の半分以上を占めている。つまりそれだけ副作用が出やすいということにもなる。運よく1回目はなんともなかったが、2回目で出るかもしれない。そう覚悟していたが、その日もなんなく終わった。

翌日はガンマナイフ施術を行った築地の脳神経クリニックに行き、手術後のMRI検査を撮ることになっていた。左側頭の脳腫瘍は1つ5ミリくらいになっていて、手術は成功。ただし、今後また脳腫瘍が出てくる可能性があるので、毎月のMRI検査を予約済だ。
「副作用については心配しなくていいですよ。必ずそのうち出ますから」

その足で、最初のかかりつけ医である三宿の脳神経外科クリニックに、降圧剤などの処方をもらいに行った。先生は元気そうな私を見て喜んでくださった。
「かつらは早めに用意しておいた方がいいですよ。」

かくして、その2日後の日曜日の夜中に腹痛が出て、夜も眠れない状態になった。体は痛くて動けない状態。もちろん食事もとれない状態。そうか、これが副作用なんだ。

翌朝、「治療中に気をつける症状」に該当するため、もらっていた病院の電話番号に連絡するが回線がつながらない状態。そのままの状態で、2日過ぎ、水曜日の朝8時半に電話がつながった。主治医から折り返しの電話が来た。
「池田さん、どんな具合ですか?落ち着いてね。吐き気止めの薬はありますか?明日、診察に来てください。」
主治医の声を聞いただけで、ほっと安心した。

吐き気止めの薬が処方されていたのを思い出して、飲むとだいぶ楽になった。
木曜日、診察に行くと、当日の血液検査、レントゲンの状態から「大丈夫です。正常な数値です。副作用が出たんですね。今後少しずつ楽になると思いますよ。また心配になったら、連絡くださいね。でも顔色見てほっとしましたよ。」
医師との信頼関係って大切だなって改めて思った。

※写真はニューヨークでお世話になったJAMSNETのJAMSNET東京とニューヨークのJAMSNETからのお見舞いのお花。ニューヨーク滞在後、JAMSNET東京の立ち上げをお手伝いしました。

JAMSNET東京理事よりお見舞い花

JAMSNET NY お見舞い花

 

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