エッセイ

わかれ道は突然やってくる-2

2. 伝える。そして人の情を知る。

大学病院の初診は5月12日だった。まずは紹介された脳神経外科部長の診断。「化学療法でいけるんじゃないですかね。でも私よりは腫瘍医の方が詳しいので、彼の意見を聞いてみてください」。この病院には各科にひとり腫瘍専門医が外来医としている。脳神経外科の腫瘍医も同じような意見だった。「ただし、肺が原発ですので、呼吸器内科で、まずは診断を仰いでください」そこまでに2時間半。呼吸器内科では各検査後、担当の腫瘍医と診断できたのは、5時間以上経ってからだった。


全身の転移を確認するために、他病院での全身PET検査を20日に受けることになった。そして26日には大学病院で肺の生検を取ることになった。ただし、通常、レントゲンを取りながらワイヤーを挿入していくが、私の場合は心臓の裏にあるため、レントゲンで確認しながらの採取ができない。そこで、放射線科に脊髄側からの穿刺が可能かを確認してみるとのことだった。

その間にさらに肺がんの情報などを勉強した。ネット検索は必ず確かな医療情報を発信しているサイトに限定した。1週間ほどでかなり知識を詰め込むことができた。
当初は、少しショックもあったけど、段々と落ち着いて情報を整理していくことができた。

肺がんには2つの大きな分類がある。小細胞がんと非小細胞がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど)で、それぞれ治療法が違う。ただし、ステージⅣになると、ほとんど化学療法であることには変わらないようだ。
そして、標準的な診断と治療方法についても、段々とわかってきた。

まずは仕事上、つまりレッスンの生徒さんやライブ・セッション関係の方々へのご報告をすべきだと思った。当初、初診からすぐに入院をしながらの検査になると踏んでいた。だから6月ごろには入院と思っていた。そこで、5月中旬ごろからレッスンは全てお休みにして、6月いっぱいの様子を見てから、7月以降のレッスンを再開するかどうかを考えようと思っていた。関係者には全員に正直に経過を話した。そして進捗報告もしていった。

一人一人がお返事で、「何かできることがあったら、言ってね!応援してるよ!」という励ましの内容だった。そのような温かい言葉を聞くことで、私はどれほど幸せな人間だろうとかと、改めて実感した。

一番、頼りになったのが、魔人屋のぽこちゃんだ。ぽこちゃんからも「病院の付き添いでもなんでもやるからね」と真っ先に言ってくれた。彼女とは40年以上の付き合いだし、家も近いし、彼女を通じて魔人屋関連の友人たちとつながる。

独り身にとって、病気の時に誰に頼るかは大きな選択になる。地元に心から頼れる友人がいることがどれほど心強いことか。逐一、ぽこちゃんには連絡をしている。そして友人たちにも何かあればぽこちゃんに連絡してみてと、言うことができる。


今まで以上に友人たちとの距離は近くなり、感謝も深くなった。人はこんな時にも、幸せを感じることができる。

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