エッセイ

わかれ道は突然やってくるー1

1.青天の霹靂

「脳腫瘍らしいものがありますね」
MRI画像には左側頭部に小さいがしっかりした影がふたつあった。
「半年前には無かったので、転移性の可能性が高いですね。肺から転移する事が多いので、肺も調べましょう」

造影剤を入れての肺のCT検査後、画像にはかなり大きくなった影が写っていた。
「これは半年以上前からあったものでしょうね。ちょうど心臓に隠れる位置なので、レントゲンにも写らなかったんでしょう」
「大きな病院で全身を検査した方がいいでしょう」
と言う事で、近くの大学病院を紹介してもらう事になった。
2021年5月6日、66歳の誕生日を4日後に控えた日だった。

この脳外科クリニックは昨年9月に一過性脳虚血を起こしてから、経過観察と投薬のため、毎月通っていた。今回は11月以来のMRIを撮りましょうと言う事で、医師から言われていたものだった。

帰宅してから、転移性脳腫瘍についてネット検索した。転移性脳腫瘍は、文字通り別の臓器から転移してできた腫瘍だ。

ステージI〜Ⅳの指標は3種類あるが、転移性脳腫瘍は転移と言う点から、小さくてもステージⅣになる。余命は5年ほど前までは5ヶ月と言われていたが、近年は早期発見も増えて10ヶ月から1年と言われている。

症状は腫瘍のできた部位によっても違い、左側頭部の場合、認知障害、言語障害、音への反応の異常、四肢障害など、シビアな障害が多い。一度症状が悪化すると、つるべ落としのように悪化の一途を取る事が多い。
治療は現在では開頭手術よりはガンマナイフと言ってガンマ線を照射する手術が一般的で、さらに進んだサイバーナイフと言う手術もある。

ここまでの情報を集め、今後の仕事のことを関係者に伝えなくてはならないと思った。そして自分の死についても準備を進めてなくてはと考えるに至った。

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