エッセイ

赤坂POPO、そしてサチさん

赤坂一ツ木通りの「ポポ」は、細い紅い階段を昇る。重い木の扉を開けると、そこは「オズの魔法使い」で納屋から開かれた扉のように、別世界が広がっていた。

ここを経営していたのは、サチさんとみんなに呼ばれる女性。彼女はエンターテイナーであることを運命づけられていた。同じくミュージシャンであるご主人とこの店を始める前は、「ポカン」という店で歌っていた。

そのころ、ライブハウスというのはあまりなく、キャバレーやクラブとは違って、お客様とミュージシャンの距離が近く、一緒になって音楽を楽しめる場所として生まれた。「ポカン」ではホキ徳田さんらと、カウンターの中でウクレレを弾きながら、ハワイアンからジャズ、歌謡曲までなんでも歌って、お客様を喜ばせていた。そのスタイルをひきついで、赤坂の地に「ポポ」を開店。

当時、赤い階段は空席を待つお客様でずっと並んでいたという。多くの有名人も訪れ、海外からのアーティストも多く、MJQのパーシー・ヒースは特にお気に入りで来日中は毎日のように来ていたという。

私はサチさんの友人であるマーサ・三宅さんの生徒としてボーカル教室の発表会に出ていた。サチさんは多くの生徒の中で、私の歌う”But Beautiful”を聞いて、目がキラキラしていたのが気に入ったそうだ。その後出演しないかという誘いがあった。もうひとり選ばれたのが、久万正子だった。

初めて店に訪れたのは22歳くらいの頃だったと思う。重い木の扉を開けるとお客様の熱気にあふれた別世界だった。まだほとんど素人の私は、ここからキャリアを始めたといってもいいだろう。サチさん、そしてこのポポで知り合った人とはその後、長いつながりを持ち続けるようになった。

Sachi & George

レオナルド・ダ・ヴィンチ@赤坂前のページ

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